1. HOME
  2. メディア
  3. ミャンマー
  4. ミャンマー視察を終えて思うことまとめ

ミャンマー視察を終えて思うことまとめ

おはようございます。

ここ数回にわたって、ミャンマー視察でお時間を頂いた企業さんのお話を記事にさせて頂きました。記事になっていない会社様とも様々なお話をさせて頂きましたので、今回はその点も踏まえて、私なりに思うところをまとめていきたいと思います。

視察でヒヤリングさせて頂いた企業さん記事はこちらから。

はじめに

今回の視察で貴重なお時間を頂いた会社様、本当にありがとうございました。お陰様で大変実りのある視察を行うことができました。
元々、海外との関わりが少ない生活をしてきた私にとって、ミャンマーとの関わりや渡航に対して、お話を頂いた当初は興味があるような無いような感じで正直気が引けていました。

飛行機が好きではないのと、あまり英語が堪能ではないのでコミュニケーションに困る点が大きな要因でしたが、とはいえ、昨今の日本の状況や中小企業が置かれている状況を考えると、海外との関わりは重要な要因だと考えていました。その中でも成長著しいミャンマーには大きな可能性が秘められていると考えていたので、今回の視察へ赴くことにしました。

ミャンマーへの視察について

ミャンマー視察の前後でイメージは変わったのか」の記事でも書いた通り、今回の視察は「現地のリアルな状況を見聞きし、肌で感じること」を目的としていました。

その上で思った点をまとめると、さすがに平均年齢27歳程度と言われているので道行く現地の方は若い人が多く、ダウンタウンを歩いているとおおらかな空気の中でも、活気に満ちている空気を感じます。また観光客や駐在などで来られている外国の方も多く見かけます

また多くの国から企業が進出しているため、英語、中国語、韓国語、日本語など、各国の言葉が入り混じった看板や広告を目にします。そのような環境もあり多少の日本語が理解できる方もいますし、英語も決して堪能でなくても通じることが多いです。建物は近年外国から入ってきたものと元々現地にあるものとで差が激しく少し不思議な感じもしますが、あちこちで工事をやっているので確かな成長を感じることができます。

この辺りのことはネットの記事などでも言われているのですが、現地に降り立ち実際に肌で感じると、あたりまえですが日本の雰囲気とは明らかに違ったものを感じます。少し言葉では表現し辛いですが、本当に大きな「可能性」を感じることができました。

ミャンマー進出時のポイント

ミャンマーへ進出する理由は、「安価な労働力の確保」、「人材の確保」「新たな市場の確保」など様々かと思います。「ミャンマー進出における本当のリスクとは何か?」の記事でも書きましたが、進出前や検討中に必要な情報を集めるという観点では、ミャンマーはまだまだ不十分と言わざるを得ません。

海外進出において、数字的な裏付けなどによる計画が大事なことはもちろんだと思いますが、実際に既に進出されている企業様のお話を伺うと、むしろミャンマーでの可能性に期待しているところが大きく、ある程度は進出してから方向修正する想定で、必ずしも綿密な計画を立てていたわけでは無いこともわかります。

では、進出時に一番のポイントとなるのは一体何か?

月並みな回答ですが、私は「人に対する難しさ」を感じました。
どの進出理由にしても必ず「人」が関わりますので、ここを無視して事業を行うことはできません。またリンクの記事内でご紹介した、JETROが行った「2016年度アジア・オセアニア進出日系企業実態調査」でも、進出企業が経営上の問題点としている上位が「人」に関わる点(従業員の賃金上昇、従業員の質、人材/中間管理職の採用難)となっていて、その重要性が見て取れます。

ミャンマーでの「人」の難しさ

ひとえに「人」と言っても、顧客として、パートナーとして、従業員としてなど、その対象の違いはありますが、事業を行う上でその国の文化、宗教、言語、民族などの違いや国民性を理解して対応を進めて行くこと、現地の現状に合わせた対応をしていくことが必要になります。

例えばミャンマーは、国名「ミャンマー連邦共和国:Republic of the Union of Myanmar」からもわかるように、多くの少数民族からなる多民族国家です。またインド、バングラディシュ、タイ、ラオス、中国と隣接しているため、異文化や他国の人と接する土壌は出来ている特徴があります。

それ以外でも、民主化の前は「会社で働く」という意識がなかったため、就労に対する意識や価値観も大きく異なります。それに上下で比較することが難しい環境のため、どこまでできればいいのか?どこを目指せばいいのか?など、例えば会社の先輩や上司の姿を見る環境も整っていないため、自分がどの程度出来ているのか?の基準があいまいになりやすい点もあります。また仕事や自分の時間よりも家族との時間を大事にする点も特徴だと感じています。

この特徴を踏まえながら、日本式を一方的に押し付けるのではなく、現地に合わせていきながら最適点を見つけていくこと、時にトライ&エラーを繰り返しながらも進めて行くことが、人材定着や人材活用の大きな差になるのだと考えています。

また現地採用を考えた場合、日本と同様にミャンマーでも労働者にとって売り手市場になっている傾向があるようです。これは大学卒業者など一定のスキルを有している層が少ない点会社に務めた経験がある人材は少ない点などが影響していると考えられますが、特にマネージャークラスの賃金は、決して安価とは言えないレベルになっています。
ASEANの中でも、労働力を安価で確保できると期待されていますが、最低賃金の上昇や企業参入の増加など賃金水準が上昇する要因は多くありますので、優秀な人材の確保は更に重要性を増すと考えられます。

とはいえ、各国からの進出がまだ少ない今だからこそ、日本では獲得できない優秀な人材を確保できる可能性がある面もあると思います。日本企業に対する憧れがある種のブランドのようになっている点や、転職市場や紹介所の機能などがまだ発達していないため人伝やFacebookなどに頼るケースが多い点があるので、この辺りをうまく活用していくことが採用時のポイントになると考えています。

最後に

日本にしても、ミャンマーにしても、そこにいる「人」の重要性は変わらないので、企業としてしっかりと対応を行っていく必要がありますが、「人」に関することは一朝一夕には結果が出ない側面があります。

成長途中の今だからこそ早めに小さく進出して、許容できるリスクの中で可能性を模索する、または今だからこそ得られるメリットを享受しながら基盤を構築していく考え方も、大切なのだと思っています。

中小企業で海外展開に慣れている会社は少ないと思いますが、国としては中小企業の海外展開を支援していて、国の補助金や専門家派遣などの支援を受けられる環境があります。これらを上手に利用しながら国内だけでなく海外へ目を向けることは、とてもいい機会であり、選択肢の一つとして大きな可能性があると思っています。

それではまた。

アンドファン株式会社
中小企業診断士 田代博之