1. HOME
  2. メディア
  3. ミャンマー
  4. ミャンマーで頑張る日本の中小企業をご紹介③

ミャンマーで頑張る日本の中小企業をご紹介③

おはようございます。

本日もミャンマー視察でお会いした、ミャンマーに進出して頑張る日本の中小企業をご紹介致します。今回ご紹介するのはミャンマーでオフショア開発や関連事業を行っている株式会社ジーゼさんです。

開発会社がASEAN加盟国に進出する場合、「安価な労働力」のメリットを享受することを期待しているケースは多いと思います。しかし新興国だからこそ今後の新市場としての魅力を感じて進出するケースもあります。ASEAN加盟国の中で、ミャンマーは他国と比べてどうなのかなど、ミャンマーへ常駐している現地支社長の赤尾様にお話をお伺いしました。

事業の概要

大手ゲームメーカーのソーシャルゲームの開発などを請け負っている日本本社のオフショア開発として、eラーニングシステムなどを受託されています。現状は日本本社からの仕事のみを対応し、言語はPHPでの開発を主に行っています。

その他の事業として、ヤンゴンでの不動産仲介技能実習生の送出し機関(建築/介護/縫製)も行っています。またカンボジアでも技能実習生の送出し機関を行っていて、ベトナムでも共同で送出し機関を行っています。

採用は、即戦力として活躍してくれることを期待して中途採用が中心で、女性の方が働いてくれる印象が強く、現在の男女比は半々程度とのことです。

会社HP:ジーゼ様

ミャンマー進出のキッカケ

日本でのリソース不足を補うため、ミャンマー以外のASEAN加盟国の視察もしたようです。結果として、人件費が安価で今後の市場としての伸びを期待してミャンマーに進出したようですが、親日家が多く家族を大切にする国民性で、穏やかでシャイなところが日本人の性格に近く、共にビジネスをする上で非常に魅力に感じたようです。現在はASEANに数拠点を持っていますが、進出された順番は「ミャンマー ⇒ ベトナム ⇒ カンボジア」のようで、ミャンマーへは2016年5月から進出されています。
赤尾さん自身は、同時期に会社からの指名でミャンマーに渡ることになったそうで、着任当初は苦労もあったが、今は慣れたので楽しく過ごしていると、お話頂きました。とはいえ、ご家族が日本にいることもあり、いずれは日本に帰る希望とのことです。

進出の苦労話など

IT系は人材のスキル面と人数確保の面で苦労があるようです。即戦力と考えて採用した人材でも、効率の悪い仕事の進め方をして余計に時間がかかっている点と、必ず納期を守る意識が少し弱い点があるとお話されていました。またプライドの高さを感じることもあり、「自分の仕事の成果」と「自分が出来ている意識」に少し乖離が生じる様子があり、日本で同じ年齢の人と比べると、5~6歳ほど幼い印象が見られるようです。他国と比べると、IT系はベトナムの方が少しリードしているが、ミャンマーには伸びしろがあり、これからより飛躍していく可能性は期待できると感じているようです。技術指導や仕事に対する姿勢、考え方をしっかりと教育していけば、本来のミャンマー人の勤勉な性格がプラスになり、どんどん学習して格段に伸びていく傾向もあるようです。

「人はいいが人が問題となる」と感じているところがあり、採用にあたっては人間性を一番に重視しているそうです。悪いことを認められる、ルールを守る、連絡をする、指示を守る、そんな素直な人が望ましと考え、選考を行っているとのことです。

今後の展開

現時点では事業のトップとして任せられる人材を教育している最中なので、その人材を育成していくことが目先の課題のようです。ソーシャルゲームのアプリ開発以外にも、新たにPCサイトの保守など試みているなど、様々な可能性を模索しながら、事業拡大をしていきたいとお話頂きました。

お話をお伺いして

勤勉でマジメ、日本人が馴染みやすいなど、ミャンマーでは人の良さが魅力であるとされながらも、その反面任せられる人がいないなど、人による課題も多くあると思います。先日記事にさせて頂いた、UTSの柴田様もお話されていたように、額面だけでは測れない苦労が多い点も課題だと思います。

日本において人材不足はこれから大きな課題になってきます。この課題に対して、日本国内に留まらず海外の人材確保を行っていくことは、解決のための選択として大きな可能性を持っていると考えています。しかしながら、海外の人材を確保、または活用しようとすると、また別の「人」による課題があることも今回感じさせて頂きました。

企業を支えていくのは「人」であることは変わりませんので、このような人の課題を解決していける会社はこれからも成長を遂げることができる可能性が高いのだと、改めて「人」の重要性を考えさせて頂く機会となりました。
赤尾様、今回は貴重なお話をありがとうございました。

次回もミャンマーでお話を伺った会社さんを、ご紹介させて頂きます。
それではまた。

アンドファン株式会社
中小企業診断士 田代博之