1. HOME
  2. メディア
  3. ミャンマー
  4. ミャンマーで頑張る日本の中小企業をご紹介①

ミャンマーで頑張る日本の中小企業をご紹介①

おはようございます。

本日はミャンマー視察でお会いした、ミャンマーに進出して頑張る日本の中小企業をご紹介致します。ミャンマー進出での体験談、苦労話、今後の展望などをお伺いしたので、応援の気持ちを込めてご紹介させて頂きます。皆さんのミャンマー進出の参考にして頂けたら嬉しいです。

まず紹介する企業さんは、ミャンマーでのお土産市場を開拓しているSin Phyu Lay Co.,Ltdさん。代表の新谷夢さんは、ミャンマーでの女性企業家として様々なメディアでも取り上げられています。いったいなぜ起業したのか?苦労はなかったのか?これからの展望はどうするか?など、様々な疑問を紐解いていきます。

また余談ですが、今回は海外進出支援のための視察にこられた、弁護士の檀俊充先生と中小企業診断士の志水功行先生と一緒にヒヤリングをさせて頂きました。新谷さんは、学生時代に経営を学ばれていたこともあり「中小企業診断士」の資格をご存じでした。まさかミャンマーで中小企業診断士をご存知の方とお会いするとは思わず、少し驚きました。

ミャンマー進出と起業のキッカケ

父親からミャンマーの会社への勤務を勧められたことをキッカケに、ミャンマーへ渡ることを決断。就職する前にバックパッカーとして東南アジアを回っていた経験も後押しし、2012年6月にミャンマーへ移住をされました。現地語の基礎を学校で学び、読み書きは難しいながらも簡単な会話は可能とのことです。
ご本人の大雑把な性格もあって、「細かすぎる日本の仕事が合わない」と思っていたこともミャンマーへ渡ることを後押ししたようです。

大学時代から経営学を学び、自分でも何か事業がしたいという思いがある中、様々な事業案を検討され、結果「ミャンマーのお土産はしっかりとした梱包で原材料表示もあり、安心して食べられるお土産がない」ことを機会に、2013年10月からお土産市場をターゲットとしたクッキーの販売を開始されています。
確かに、私が視察でミャンマーへ行った時も、お土産になりそうなものといえば民芸品や装飾品などが多く、よくあるご当地のお菓子などはほとんど見ませんでした。

事業の概要

委託先の現地ベーカリと共同でクッキーのレシピを開発。現在は自社の「工房」での製造を拡大させています。お土産としての商品を見込んでいるため、現地の言葉を使用したり国旗をデザインしたりと、ミャンマーらしさを出すことを心がけて、現在はボージョーマーケット内の直営店舗と、ヤンゴン国際空港内のショップで販売をされています。

原材料は主に現地で調達しながら、入手が難しい一部の材料は輸入品を使用されています。現地の米粉を使用したクッキーや、ミャンマーチョコレートといわれている黒砂糖のタンニャを使用したクッキーなど、現地のオーガニック食材に拘りをもって商品展開をされています。

現地人材の採用も行っているが、女性の方がよく働いてくれることと、男女が混在しているとイザコザが起こることを懸念して、採用している4名は全て女性です。ミャンマーでは家族との時間をとても大切にするため、日本のようなきっちりとしたシフト表を作成することをせずに、フレキシブルな対応を心がけているようです。

その他に、工房での裁縫教室やインターンシップの受け入れなど、幅広く活動を行っています。近年は外国人旅行者も増えたが、ここ1~2年は横ばい程度だと事業環境をお話頂きました。

〇Sin Phyu Lay Co.,Ltd:会社HP

店舗紹介

ここからは新谷さんが展開されている各店舗を、写真つきでご紹介していきます。

〇工房

ここでは店舗で販売する小物を作成したり、漫画の学校行ったりと様々なことを行っています。縫製を行うミシンが数台並べられているのですが、ここに置いてあるミシンは足踏みミシンで、私は初めて見ました。あまり詳しくありませんが、今となってはかなり希少では無いのでしょうか。

また壁には日本のアニメや漫画のポスターも貼られていて、なかには日本の監督が撮影された「一杯のモヒンガー」の映画ポスターも飾られています。

〇ボージョーマーケット内店舗

旧来のボージョーアウンサンマーケット内のメインストリートを進み、少し狭い小道路を進むと、日本語で書かれた看板があります。

  

ここでは下で紹介する用品の他に、雑誌に掲載された時の写真やAARの様子など、多くのデコレーションがされています。一瞬「これも売りモノか?」など迷うこともありますが、会話のタネとしては事欠きません。こちらでは工房での小物製作体験も受け付けています。

  

〇ヤンゴン国際空港内店舗

ヤンゴン国際空港内ターミナル1、ターミナル2のショップで取り扱いがあると聞いていましたが、私は飛行機の都合上、ターミナル1のお店しか行けていません。ここでもお土産は工芸品が多く、食品のクッキーはよく目にとまります。

商品紹介

ここからはボーショーマーケット内の店舗で販売されていた商品を紹介していきます。私が購入したものは、感想付きでご紹介致します。

〇クッキーBox

メインの商品となるクッキーボックスです。ナンカタインクッキー、コーヒークッキー、ピーナッツプラリネと3種類のクッキーのから選ぶことが出来ます。私は3種類すべてが入ったミックスBoxを購入しましたが、どれもおいしく頂きました。個人的にはタンニャで固めてあるピーナッツプラリネが好みです。

〇オーガニック米粉クッキー

オーガニックの米粉とタンニャを使用したクッキーです。私は残念ながら在庫切れでこちらは購入できませんでしが、とても興味はあるので次回訪問時の楽しみにしておきます。

〇ミニシャンバッグ

自社の工房でつくられている、ロンジー柄の小物入れです。かなりキレイに縫製されていて、柄もカラフルでとてもかわいらしいです。

〇オーガニックコーヒー

ミャンマーで採れたオーガニックコーヒーで、豆と粉から選べます。コーヒーの味をお伝えすることが難しいのですが、イメージとは違い風味豊かなのに飲みやすく、とてもおいしいコーヒーでした。少し薄めに入れたので、もっと濃いめにした方が現地らしいのかなと試行錯誤中です。

〇タナカ製品

ミャンマーといえばタナカ。美容効果があると言われているタナカを使った、パウダー/石鹸/クリームを販売しています。石鹸は日本マダムに使用して頂きましたが、オーガニック系の石鹸なのに泡自体が細やかで泡立ちもよく、使用後はスベスベした感じがありハンドクリームの馴染みが良かったと好評でした。

〇ピッタインダウン

ミャンマーのだるまで、「投げるたびに立ち上がる」という意味だそうです。倒れても笑顔で起き上がるようになっていて、起き上がり小法師のようです。かわいい・・・という感覚は人それぞれだと思いますが、日本ではなかなか見ることができない商品です。

進出の苦労話など

ミャンマーで事業を行うには、人材の確保や教育など人(従業員)にまつわるところが重要となり、日本のように事業環境が整っているわけではないため、パートナー探しも注意を払う必要があると。サンプルを見せる文化がないため、例えば梱包材を発注する際などもサンプルを見ずに発注する必要があり、不具合も多いという。
またミャンマーでは外国資本企業による小売業に規制があるため、設立時は現地のコンサルタントの力を借りながら、現地パートナーと共に起業されています。

そんな日本では考えられないことが濃縮された新谷さんの4コマ漫画が、HPで公開されています。ミャンマーで起こる「あるある」なことを見ることができますので、是非一度ご覧ください。

〇新谷さんの4コマ漫画「ミャンマー 一喜一憂物語」

また治安に対しては、夕方までなら治安がいいとのことで特に気にしていない様子でした。

今後の展開

今後は、ミャンマー国内市場に向けて商品展開を行っていきたい方針だが、販売価格が大きな課題となっている様子。現地の購買力を考えると、数分の一程度まで価格低減が必要となる。また現地素材タンニャの妖精キャラクター「ターニャ」をデザインし、ゆるきゃらとして普及活動を行っていきたいと話しています。

 

お話をお伺いして

異国の地、それも新興国で起業するだけでなく継続的に収益を出していくことは、日本とは違った苦労も多いと思います。しかし新谷さん自身の柔らかい雰囲気もあり、それをあまり感じさせていません。一つ一つをお伺いすることは叶いませんでしたが、数多くの失敗をし想像もできない苦労を重ねながら、今の状況があるのだと思います。

そのバイタリティを生み出す源は何なのか?

ふと疑問に感じた点ですが、私なりの答えとしては「好きなことをやっている」からだと感じました。興味のあること、好きなことだから苦労があった時にも「何とかなる」「やってみよう」と乗り越えてきたのだと思います。新谷さんとお話すると、とても楽しそうに活動をされているのが印象的で「好きなことをする」「エイヤッと飛び込む」ことの重要性を思い出させて頂きました。

日本にいると、新しい事や変化を嫌って現状の枠から抜け出せなかったり、失敗を恐れて綿密な計画を作成することに重きを置いたりと、消極的になってしまいがちです。私自身も新谷さんを見習って、自分の好きなことに邁進することにしました。

今回は様々な体験を語って頂きまりがとうございました。皆さんもミャンマーに旅行で行かれた際には、寄ってみて下さい。

それではまた。

アンドファン株式会社
中小企業診断士 田代博之