先日、英国のThe Economist Newspaperによるガラスの天井指数で、OECD(経済協力開発機構)の国の中で「女性の働きやすさ」ランキングが発表され、日本は残念ながら、下から2番手の28位と厳しい順位でした。
この手のランキングは新たな気づきが得られる面で興味深く見ています。今回も詳細を見ながら色々と思うところを整理していきます。
「女性の働きやすさ」ランキング
英国のThe Economist Newspaper はOECDに加盟する主要な29か国に対して、10の指標に基づき「女性の働きやすさ」をランキング形式にしています。まずはランキングの全体を見ていきます。
- アイスランド
- スウェーデン
- フィンランド
- ノルウェー
- ポルトガル
- フランス
- ベルギー
- ニュージーランド
- デンマーク
- スロバキア
- スペイン
- ポーランド
- オーストリア
- カナダ
- オーストラリア
- イタリア
- 英国
- アイルランド
- 米国
- オランダ
- チェコ
- ドイツ
- ハンガリー
- ギリシャ
- イスラエル
- スイス
- トルコ
- 日本
- 韓国
こう見ると北欧の国が強く、日本や韓国のアジア勢は下位になっています。エコノミスト誌によると「いまだに家庭と仕事のどちらかを選ばなければならない状況にある」ということになります。
このランキングは絶対的な順位よりも、2016年からの推移を見ると特徴が顕著で、例えばハンガリーは9位→23位、ポルトガルは12位→5位、スロバキアは15位→10位など、中間の順位の国は変動しています。
しかし、上位4か国(アイスランド、スウェーデン、フィンランド、ノルウェー)と、下位4か国(スイス、トルコ、日本、韓国)においては、順位変動していません。
*出典:The Economist Newspaperより抜粋
恐らく各国とも様々な対策を行っているのだと想像しますが、根本的な考え方や仕組みによる影響が大きいと思うので、なかなか改善がされないのだと思います。
続いては、ランキングを決定している10の指標の詳細を見ていきます。
- 高等教育
- 労働力率
- 男女賃金格差
- 保育料純額
- 母親有給休暇
- 父親有給休暇
- 女性が受けるGMAT試験
- 女性管理職
- 会社の取締役会の女性
- 議会の女性
この中で、日本は労働参加率、育児費用の低さ、父母共に有給休暇の取得はOECD平均を超えていますが、それ以外では平均数値を大きく下回っています。
日本における各項目の2016年からの詳細を見ると、労働参加率、保育料の費用についてはOECD平均の傾向と比べてここ数年で改善を示しています。しかし、女性管理職や女性議員の割合については、他国が右肩上がりの中、日本はほぼ横ばいと改善の傾向はみられていません。
*出典:The Economist Newspaperより抜粋
まだあるランキング
日本における働きづらさを見てきましたが、違った角度でも日本は不名誉な順位になっています。世界最大の駐在員向け交流サイト「インターネーションズ(InterNations)」から「外国人女性が住み働きにくい国・地域」が発表されています。
こちらは駐在員へのアンケートをベースに、各国の就労環境、生活の質、生活費などの指標を分析した結果では、ワースト1位になっています。
- 日本
- 香港
- ルクセンブルク
- ニュージーランド
- 南アフリカ
- マルタ
- キプロス
- スウェーデン
- ドイツ
- イタリア
日本人からすると、治安が良くて安心して住めるいい国のようにも見えますが、外国の方からすると言葉の壁、ワークライフバランスの悪さ、生活費の高さなどがあるようです。
今でこそインバウンドの対応で、英語の表記やユニバーサルデザインへの対応などされてきたように思いますが、それでもまだまだ足りていないのだと感じました。住んでいるとわかりづらいことでも、外部の目からだと見えてくることもあります。
最後に
今回はアンケートを使って「女性の働きやすさ」を見てきましたが、世界の中で相対的に日本の置かれている状況を見ることは、とても重要だと感じています。
特に海外へのアウトソーシングや取引を行っている場合、自分の国の感覚だけでは通用しないことも多いと思いますので、相手のことを知ることも必要になります。
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それではまた。
弊社のサービス紹介
アンドファン株式会社
中小企業診断士 田代博之