先日アップした「ウィズコロナ時代のアジア各国の状況①」に続いて、アジア各地(シンガポール、タイ、ベトナム、中国、台湾)コロナ状況と、ウィズコロナ時代の経営環境の変化と現地企業の経営見通しについて、お話をしていただきました。
前回の続きとして、ウィズコロナ時代の経営環境の変化や機会、現地企業の経営見通しなどをまとめていきたいと思います。
各国の経営環境の変化と今後の見通し
各国(シンガポール、タイ、ベトナム、中国、台湾)の経営環境の変化や、それに伴った経営の見通しなどは、以下の通りです。
台湾の状況から
テレワークの浸透もあり、電子機器の需要増加に合わせた半導体需要が好調です。台湾には半導体の世界シェア1位のTSMCがいますし多くの日系企業も絡む分野ですので、今後の機会として考えられそうです。また台湾は5人に1人の割合で日本旅行の経験があり、訪問先は大阪が1位のようですので、旅行の再開が見込まれた後、大阪万博も含めたインバウンドにも期待ができます。
逆に、コロナ再燃による運輸、旅行ホテル、小売、飲食の規制がゼロコロナ対策からウィズコロナ時代への対策が必要になることも考えられます。またコンテナ不足による輸送の遅延や、費用の高騰などの影響があるようです。物流が滞ると、物が不足したり在庫が過剰になったりする懸念がでてきます。
半導体だけでなく、高付加価値製品の製造、R&D拠点としての役割に期待しつつ、台湾も少子高齢化による市場規模の縮小が見込まれていることから、中長期的には戦略を検討する必要がありそうです。
中国の状況から
上海ららぽーとが開業、星野リゾートが浙江省に開業と、サービス業は栄えている印象があるようですが、2021年のIMFのGDP成長率は8%と下方修正されている状況です。
足元7月~9月では4.9%と減速傾向にあり、背景としては政府の規制強化、半導体や電力不足などがあるようです。特に電力不足の影響は大きく、通常は24時間365日稼働している工場も、地域によっては3勤3休などの要請が出ているようです。
今まではどちらかと言うと、下請け開発/生産を行っているイメージが強かったですが、最近は企画の方へ推移してきています。中国での人件費の高騰もあり、例えばアニメ業界では中国の下請けとして日本のアニメーターが動いている逆転現象ニュースもあります。
タイの状況から
半導体、樹脂、銅やアルミなどの需要回復による材料の高騰/入手難があり、中国同様に電力不足も起きているようです。また輸送関連もコンテナ不足を背景に遅れや運賃高騰が発生しいてる状況とのことです。
タイでは、自国で完結するビジネスというより、東南アジアのハブとして使っている会社がほとんどのため、周辺国の状況にも影響を受けることが特徴とのことでした。今後の高い成長率を見据えて、周辺国とのバランスも見ながら戦略を考えていく必要があるのだと思います。
ベトナムの状況から
コロナウイルスの対策は継続し、陽性者がでると工場やオフィスビルなど封鎖になるようです。IT業界ではリモート環境も整いつつあるので、業務自体は継続できている様子です。
しかし、職場が休業になったことで故郷に帰った人材などが戻ってきていないため、業界によっては人手不足な状況になりつつあるようです。例えばオフショア先として仕事はあるものの、対応できる体制が組めなかったり、技術者が不足してたりと、苦労をしているとのことでした。
外国人の入国もスムーズではない状況のため、設備の導入やメンテナンスで国外の作業者を入国させる必要がある場合など、隔離期間分と合わせて費用が高額になることがあるようです。
シンガポールの状況から
ビザ取得の要件(学歴と年収)があるのですが、給与基準が厳しく(高額に)なっているようです。シンガポール国内の雇用不安を減らす狙いがあるようですが、これにより日本人駐在員も削減されている状況で、2021年6月末時点では前年比で10.7%も減少している状況です。
国を挙げてのデジタル化を進めていて、スマートシティランキングでは2年連続1位を獲得するほどです。コロナ対策としても、ワクチン証明書、PCR検査結果、接触履歴などを国民番号と連動させてアプリで管理しているとのことです。
最後に
全体を通して感じることは、どの国でも輸送関連には懸念があるのだと感じました。またコロナウイルスによって小売や飲食、旅行業などはまだ予断が許されない状況ですが、一方で半導体などいい影響を受けた業界があるなど、国というより業界によって状況はまちまちなんだと思います。
コロナウイルスによって経営環境が変わったことは間違いありませんので、今後どうなるかを考えながら変化への対応を検討していく必要があるのだと思います。
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それではまた
アンドファン株式会社
中小企業診断士 田代博之