昨今の人手不足の課題に対して、外国人雇用に対する注目はますます大きくなってきているように感じています。実際、厚生労働省が2019年10月時点で発表した外国人雇用状況を見ると、外国人労働者数は1,658,804人で前年同月比198,341人、13.6%の増加となっていて、年々増加しています。
このように増加を続ける外国人雇用ですが、企業にとってどんなメリットや懸念点があるか、活躍してもらうためにはどのような取り組みが必要なのかを、事例企業を見ながら整理していきたいと思います。
外国人雇用の現状
まずは外国人雇用の現状について、データから見ていきたいと思います。外国人雇用と言っても、在留資格によって状況も違いますので、現在、厚生労働省で公開されているデータから、「在留資格別の状況」と「増加率が高い3資格」を見ていきます。
〇労働者数が多い上位3資格
- 身分に基づく在留資格:531,781人(全体の32.1%)
- 技能実習:383,978人(全体の23.1%)
- 資格外活動:372,894人(全体の22.5%)
〇増加率が高い上位3資格
- 技能実習:前年同期比24.5%
- 専門的・技術的分野の在留資格:18.9%
- 特定活動:15.3%
これを見ると技能実習生の伸び率の高さは際立っているように見えますが、昨今のコロナウイルスの影響で、身分に基づく在留資格は、永住者や定住者、またはその配偶者になるのでそこまで大きな影響は出ない可能性がありますが、観光客だけでなく留学生や労働者も入国できないことによる影響が心配されます。
外国人雇用のメリットと懸念点
過去の記事「外国人雇用の今をデータから考えてみる」でも記載していますが、改めて整理しなおしてみます。
- 事業の海外展開:ブリッジ人財となる
- ダイバーシティ:多様な考え方や視点を取り入れられる
- 社員の意識改革:業務を見直すキッカケとなる
これらの他に、採用における選考の間口が広がることも考えられます。また逆に懸念されることも整理していきます。
- 日本人採用よりコスト(手間)がかかることがある
- 文化/宗教/言語などへの配慮が必要になる
- 地域への配慮が必要になる
これらの他に、制度の理解が必要な点もあります。例えば過去の記事「外国人雇用に対する勘違い」の中で、技能実習生受入での遵守事項をまとめていますが、必要な届け出や企業側に求められる対応をしっかりと理解し、対応を行っていく必要があります。
事例から見る外国人雇用
外国人の雇用について、採用だけではなく定着や育成の面も踏まえて、成功している企業がどのような取り組みをしているのかを見ていきたいと思います。
1例目は、三島硝子建材株式会社の事例で、ベトナムからの機能実習生からの一言から、組織のコミュニケーションを中心とした社内改革を実行され、「大家族主義経営」を取り戻しております。
2例目は、株式会社栄鋳造所の事例です。こちらはダイバーシティ経営100戦にも選ばれていて、特定活動資格を有する難民雇用や、大学と直接インターン契約を締結するなど、独自の戦略を展開されています。外国人に対し、ビジョンや目標を持たせるなど、日本人と同じように扱うことを進められています。
詳細はインターネットにインタビュー記事などが多く載っていますので、そちらをご確認いただきたいですが、私から見て両社に共有していることは、外国人雇用には一定の軋轢が生まれた過去がある点と、そこまで特殊なことはしていない点にあると思います。
過去の記事で企業アンケートのデータから見る「外国人材が定着する仕組みとは何か」でも、外国人雇用を実施している会社で「特別な取り組みはしていない」が一番大きかったことを思い出します。外国人だからと言って「特別な何か」をするのではなく、一従業員として対応をしていくことが、重要などだと感じました。
最後に
直近のコロナウイルスによる影響で、また状況が変わるかもしれませんが、これから長い目で見ると外国人雇用は増加の一途をたどると思います。
外国人の雇用は様々なメリットもあるため、準備とタイミングを見ながら検討してみてはいかがでしょうか?
弊社では、外国人雇用に対していつでもご相談を承っておりますので、お気軽にスタッフまでご相談ください。
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それではまた。
アンドファン株式会社
中小企業診断士 田代博之