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外国人材が定着する仕組みとは何か

Global

おはようございます。

以前に「外国人雇用の今をデータから考えてみる」で、外国人雇用の状況や企業例、メリットなどに関して記事にさせて頂きましたが、人材が企業で確約するためには、採用、定着、育成などの面から仕組み作りや取り組みを行なうことが大事だと考えています。

日本人材に対しては、各社ともに様々な苦労を重ねながら取り組みをされているのだと思いますが、外国人材の場合、日本人と違いがあるのか?どのような点に注意したらいいのか?など、疑問を抱きます。

それぞれ大事な観点ではありますが、せっかくいい外国人材を採用しても定着しないと更なる採用が必要になりますし、育成するためには定着が必要になりますので、まずは「定着」の面からアンケートをベースにして、外国人材の定着や活躍のために必要となる点について、思うところをまとめてみたいと思います。

外国人材の定着率とは

「定着」に関する現状を見ていくため、日本人材(新卒)と外国人材(留学生)での定着率について比較してみていきたいと思います。まずは留学生出身の外国人材の平均勤続年数をとなります。

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出典:平成26年度産業経済研究委託事業 外国人留学生の就職及び定着状況に関する調査報告書
新日本有限責任監査法人より

こちらを見ると、平均勤続年数3年以内が32.4%ですので、決して低くはないですが突出して高いわけでもない数字になっています。続いては、比較のために日本人材(新卒)の3年後の離職率を見てみます。

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出典:新規学卒就職者の学歴別就職後3年以内離職率の推移
厚生労働省より

こちらでも直近数年では3年以内の離職率が32%前後でとなっていますので、日本人材、外国人材を問わず3年以内に約3割の人材が離職してしまっている状況が見て取れます。

人材が離職をしてしまうと、その穴を埋めるために更にコストがかかってしまいますので、出来るだけ定着率を上げていくことは大切になります。

続いては定着率を上げる方法として、どのような点に注意していけばいいのかをアンケートから見ていきます。

定着率を向上させるためには

続いては定着率を上げる方法として、どのような点に注意していけばいいのかをアンケートから見ていきたいと思います。まずは外国人材を雇用している企業側が、どんな取り組みを行っているのかを見ていきます。

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出典:2015 年度日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査
独立行政法人日本貿易振興機構より

これを見ると「特別な取り組みはしていない」が全体で38.3%となっていて、何も取り組みを行っていないことが見て取れます。また取り組みを行っている内容についても、外国人材が気になりそうな「住宅や通勤手段など住環境の整備」が18.7%と高いものの、「宗教や生活習慣への配慮」が10.3%、「日本語習得支援など研修の充実」が9.9%と、思ったよりも低いことが見て取れます。

上位に位置する取り組みとしては「キャリアプランや育成方針の提示」が20.1%「上司との面談やメンター制度など相談体制」が19.2%と、日本人でも気になると思われる点に対する、入社後のフォローに重点を置いていることがわかります。

続いては、日本企業で働く外国人材側が企業に対して取り組みべきこととして考えている内容を見ていきます。

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出典:平成28年3月「内なる国際化研究会」報告書(概要)
経済産業省より

これを見ると、また大企業においては「キャリアパスの明示」や「幹部登用」の項目、中小企業では「長時間労働の改善」の項目が高くなっている点に特徴があります。

また企業の大小を問わず「昇格・昇進の期間短縮」、「仕事内容の明確化」、「能力や成果に応じた評価」の項目が高くなっていることがわかり、自分の役割やミッションが何で、それを達成するとどう評価されて?その後にどうなるのか?を明確に求める傾向が強く見ることができます。

改善の方向性

確かに日本企業は古くから終身雇用の仕組みがあり、キャリアパスや評価制度が年功序列をベースにしていることがよくあります。また業務範囲は広くて不明瞭でよく言えば何でも屋が好まれる傾向があり、同時に長時間働くことを評価する傾向も未だに残っています。

また企業側が取組んでいる「上司との面談やメンター制度など相談体制」も、面談や相談の機会を設けてフォローをしようとしていても、形骸化してしまっていたり、上記の希望が満たされなかったりすると、従業員としては満足を感じないこともあると思われます。

あくまで項目の違うアンケートなのであくまで一つの考査ですが、企業側・外国人材側のアンケートから差を見てみると「仕事の役割や内容を明確にする」「能力や成果に応じた評価を行う」「昇格・昇進・幹部へ」の取組み改善を行える可能性があることがわかります。

最後に

改善を行うことを考えると、会社の規模が大きくなれば評価制度や人事制度を変えていくことは容易ではないと思いますので、逆を返すと、比較的に自由や融通を利かせやすい中小企業にとっては、優秀な外国人材を定着させる機会が多いという見方もできます。

これから人材不足が深刻な課題になっていく流れのなかで、外国人材も検討に入れながら優秀な人材を確保していくことは、ますます重要さを増していくと思っています。

人の関わることですので「これをやっておけば問題ない」といったものがあるとは思いませんが、外国人材の雇用をご検討の企業様は改善の一つの方向性として、注目して頂けると幸いです。

それではまた。

アンドファン株式会社
中小企業診断士 田代博之